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対訳 キーツ詩集―イギリス詩人選〈10〉 (岩波文庫)

対訳 キーツ詩集―イギリス詩人選〈10〉 (岩波文庫)

授業のあいまにぽちぽちと読んでます。いいひまつぶし。

エリクソンの人生 上―アイデンティティの探求者

エリクソンの人生 上―アイデンティティの探求者

エリクソンの人生 下―アイデンティティの探求者

エリクソンの人生 下―アイデンティティの探求者

授業で読んだ。某大学の院試では専門・英語ともによくエリクソンが出るので要注意だ。八つもある発達段階のおのおのにおける課題を答えさせたりして(私は解けなかった・・・)。こういう理解をすればいいのかー。ひとりで納得。でも全部覚えるのは無理だよな、たぶん。さて内容。「英雄とはその時の民衆の抱える病理を手っ取り早く解決してくれる人のこと」というような趣旨の文章があって納得した。まさにエリクソン本人が、その当時のアメリカで求められていた思想を提供したわけだから。対立する二者の葛藤を解決することによって得られる強固なアイデンティティがそれ(今はそのアイデンティティアメリカの病巣みたくなっている感もあるけれど)。しかし、先生いわく「われわれは葛藤とともに生きるしかない」とのこと。生涯を通じて多くの対立事項を経験した彼の人生はそのままエピジェネーシスの図式に重なる。そのアイデンティティ論が社会運動を行う青年たちに熱狂的に受け入れられ、文化的ヒーローとなるも、ダウン症児の息子を世間に隠さねばならなかったことや、また晩年はその理論がおおいに批判されたりと影も負わねばならなかった。
エリクソンの人生は葛藤に満ち、そしてそれを力強く乗り越えたように見えながら静かに磨耗していくようにも見える。葛藤を解決するとはそういうことなのだろうか?われわれは、自分が捨てた選択肢からいずれ捨てられることになるのだ、というような言葉を思い出した。