エロスの帝国(建設途中)

『エロス論集』(フロイト)と『エロスの涙』(バタイユ)が隣同士に並んでいるうちの本棚ですが(関係ないからやめなさいと言われるけどついやっちゃう)、本棚を並べ替えるのって楽しいよね。出版社順に並べたり、著者順にしたり、研究分野でくくったりして。私はその三つの方式が混在しています。机の横の本棚は勉強用だから、入れ替えたりすることはあまりなくて、遊ぶのはもっぱら寝室のほう。読まなくなった文庫を押入れになおしては、自分ルールで並べなおして一人で喜んでいます。


それで思ったんだけど、この三冊を横に並べてディスプレイするのってよさそう。

冥途―内田百けん集成〈3〉   ちくま文庫

冥途―内田百けん集成〈3〉 ちくま文庫

「高い、大きな、暗い土手が、何処から何処へ行くのか解らない、静かに、冷たく、夜の中を走っている。」(冥途)
平行植物 (ちくま文庫)

平行植物 (ちくま文庫)

「これらの有機体は、物質的な実在としてあるときはグニャグニャしており、あるときは多孔性、またあるときは骨質でありながらもろいというように、実にさまざまな性質をもち、まるで何らかの重大なる変身を盲目的に期待するかのように成長する。・・・」
(第1章 平行植物とはなにか)
ボルヘスとわたし―自撰短篇集 (ちくま文庫)

ボルヘスとわたし―自撰短篇集 (ちくま文庫)

ちくま文庫は装丁がいいですよね(文庫だけど)。本を所有する愉しみとでもいうのかな(文庫だけどさ)。そうそう、所有の愉しみと言えばまさに、本から出来上がった本がこれですよね。
初版 金枝篇〈上〉 (ちくま学芸文庫)

初版 金枝篇〈上〉 (ちくま学芸文庫)

初版金枝篇(下)   ちくま学芸文庫 フ 18-2

初版金枝篇(下) ちくま学芸文庫 フ 18-2

「・・・牧草地で突風が干草を吹き上げると、ブルターニュの農夫は、悪魔が干草を持ち去らないように、ナイフかフォークを突風に向かって投げつける。ドイツの農夫が旋風に向かってナイフか帽子を投げつけるのは、そこに魔女か魔術師がいるからである。・・・」
(第1章第2節)

昔岩波版をもっていたんだけど、あまりに装丁(というか、写真なのか?)がきれいで買い換えました。


装丁つながりで。

吸血妖魅考 (ちくま学芸文庫)

吸血妖魅考 (ちくま学芸文庫)

「サマアズ師は、吸血鬼を道徳上の見地から見た大ざつぱな定義を下してゐる。曰く『吸血鬼は並々ならず不道徳義な邪悪にして放恣な生活に入つたものこそ吸血鬼とよぶべきなのである。即ち吸血鬼は、卑猥な、醜悪な、そして又我儘一杯の情慾(パツシヨン)を持ち、悪の野望に燃え、残忍と血の中に快感を求める、かゝる男こそ吸血鬼である』と。・・・」
(第一章 吸血鬼の発生)
装丁の美しさに加え、旧かなが読書の雰囲気を盛り上げます。


それから、内田百間先生の本を素敵に装丁している、クラフト・エヴィング商会のあれこれも。

新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)

新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)

すぐそこの遠い場所 (ちくま文庫)

すぐそこの遠い場所 (ちくま文庫)

ん、けっこう楽しかったな。またやりたい。