帰福っていう言葉のひびきが好きだな

携帯が鳴った。
いいって言っているのに無理やりあたしの足つぼマッサージをしている彼氏が、「携帯鳴ってるよ」と言った。「だからもうマッサージはいいって。すごくほぐれたって。これ以上ほぐしたらカニカマボコみたいになっちゃう痛い痛いもしもし」
大学で同期の友人だった。あたしは返事をするよりも痛い痛いうめいてばかりいたので(通話中もつぼ押しをやめてもらえなかったのだ。マイ☆ワンダフルハニーは整体サディスト)、要約すると、福岡に帰ってきたんだけど誰にも知らせてなかったから誰も遊んでくれない、遊び相手になってほしいとのこと。自業自得だと思ったけれど、彼の言うとおり、大学が終わって退屈しているところでもあったので、天神まで出かけていった。


焼酎の驚くべき豊富さと料理のおいしさに定評のある、友達内で行きつけの居酒屋で飲んで、ついでにすごくおいしかったチヂミの作り方を聞いた後は(後輩の女の子は、ジャガイモをすりおろすところは彼氏にやらせようと言っていた。同感だ)、箱崎に戻って箱崎宮前の某屋台でラーメンを食べる。博多のほうの、壮観なくらいずらっと並んだ屋台はもう夜の景色の一部みたいなもので、ぼんやりと灯ったそれらを見ると、うきうきするような、物悲しいような、おなかが空いたような気持ちになる。福岡に住んでいてよかったなと思うのだけれど、ここの屋台は神社の境内のすぐ前にひとつだけぽつんとあって、ちょっと違った感じがする。どちらかといえば静かだし、中も広くて、ちょっとした寿司屋のカウンターくらいありそう。この日はラーメンしか食べなかったけれど、焼き物もおいしいらしいよ。


なにが言いたかったかって、帰ってくるときは早く知らせなさいって。